最近、twitterで整形外科のある先生が、
しきりに「そもそも骨盤矯正ってなんなの?」という投げかけとともに、
パーソナルトレーナーの「こうやって骨盤を整えましょう」というエクササイズの紹介に、
批判的なコメント付きでリツイートしているのを、いくつも見かけました。
また、『骨盤矯正』の文言を使用している宣伝・広告のあり方に甚だ遺憾であるという主張。
それは、一般の方々に何となくよさそうなイメージというだけで、
中味のないサービスを提供しているのではないかということです。
確かに、今では『骨盤矯正』というワードは市民権を得ています。
情報の受け手であるみなさんはともかく、
送り手であるサービス提供者が、その言葉自体にそのような疑問符があることを理解されずに使用されていることに、
医師としては我慢ならないのでしょう。
医師の主張は、
「骨盤は歪むことはないので、それを矯正するのはおかしい」ということです。
しかし実は、このことは昔から医学界から指摘されてきたことで、
20年以上前、私がカイロプラクティックの専門学校の学生だった頃、
慈恵医大から解剖学の先生が来て教えてくださっていたのですが、
「みなさんには申し訳ないのですが、仙腸関節(注)は動きません。」と、
カイロプラクティックの立場を理解しつつ、
医師としての立場を崩していなかったのを覚えています。
解剖学書を編纂するほど偉い先生でしたが、
決して硬直な態度ではなく、学生からは慕われていました。
飲みの席で、先の名文句を引き出させて笑いが起こるという空気感でした。
話を戻すと、
件の医師が提起している今までは交わることなく結論のなかった問題が、
現代ならではのtwitterという発信という方法で投げかけられているということでしょう。
私も 『骨盤矯正』を使っている以上、
この問題に真摯に向き合っていきたいと思います。
(注)仙腸関節
骨盤は骨盤という一つの骨ではなく、仙骨を真ん中に寛骨が左右から挟み込む3つの骨で構成されていて、
寛骨は思春期までは腸骨・坐骨・恥骨に分かれていたものが癒合して一つになっています。
寛骨の腸骨部分と仙骨との間は関節になっていて、仙腸関節という解剖学的名称になっています。
骨盤が歪むとは、この仙腸関節の動きの不具合として言う場合が多く、
したがって矯正とは、仙腸関節の不具合を外からの力によって改善することを言います。